【レビュー】スティーブジョブズ(アイザックソン著)を20回読んでみた

うぉず

スティーブ・ジョブズの人生がすべて詰まったと言ってもよい唯一無二の伝記がウォルター・アイザックソン著「スティーブ・ジョブズ」。合計約1,000ページの超大作を何度も読み直した私が今回は感動したいくつかのポイントを極力ネタバレしないようにお伝えしていこう。[@appleshinja_com]

「スティーブ・ジョブズ」で注目すべき7つのシーン

私は初めてこの本を読んだ時に思った。「次の世代にスティーブ・ジョブズのことを伝えるにはこの本しかない。」と。

1と2の合計2巻あり、多少読むのに時間はかかるがAppleに興味があるならまず間違いなく読むべき本だろう。

今から100年後、200年後、世界中の人々が偉人スティーブ・ジョブズについて色々と話をするはずだ。しかし、彼の生きていた時代を知る人がいなければそれはすべて妄想トークになってしまう。

だからこそ、スティーブ・ジョブズの良い面も悪い面もすべてを客観的に書いた書籍、いや伝記が必要になるだろう。私たちが、アインシュタインやエジソンについて色々と語るように、伝記をもとに人々はその人物について話し、場合によっては尊敬し、ライフスタイルを真似ようとする。

スティーブ・ジョブズの唯一無二の伝記といってもよいのがこのウォルター・アイザックソン著の「スティーブ・ジョブズ」だ。

もし、あなたがApple製品を1つでも使っているのなら一度は読んでほしい。世界を変えた偉人のすべてが詰まっているのだから、あなたの人生にもなんらかのよい影響を与えてくれることだろう。

シーン1、よく立ち向かったで賞

このダジャレみたいな賞。本当にあったらしい。

簡単に解説すると、社内でジョブズへ立ち向かい続けた優秀な社員をチーム内で祝ったというもの。

注目すべきはこの賞をジョブズ自身も気に入っていたという点だ。彼は真っ向から強い意見を言ってくる部下が好きだったということの証拠だろう。

中でも強烈なのが、ジョアンナホフマンという女性がジョブズに意見をするときに「ナイフを心臓に突き立ててやる。」とブチギレながら立ち向かって言ったという話。怖すぎる。笑

ただ、これくらい強いメンタルがないとジョブズとはやっていけなかったということだろう。

シーン2、トイストーリーを製作したのはジョブズ?

これ!!!

ほとんどの人は知らないと思うが、トイストーリーはかなりジョブズの影響を受けている。

製作当初、実はトイストーリーは今とは全く違うストーリーだった。酷すぎて見ていられたものではないかったらしい。原因はピクサーとディズニー内部で色々とあったことなのだが、その結果、トイストーリーは打ち切られてしまう。

と思いきや、ジョブズは自分の個人資産で続けさせる。

ここがジョブズのすごいところだろう。失敗もたくさんしてきたが、自分がいけると思ったものにはすべてをブチ込む。

結果・・・トイストーリーは史上に残るヒット作品になった。ジョブズとトイストーリーの関係はぜひ知っておいてほしい。(ジョブズのiPadにはトイストーリーが入っていたくらい彼のお気に入りの作品でもあった)

シーン3、ジョブズが復帰したのは意図的?

ジョブズがiMacを発表して颯爽とAppleに復帰したのは有名な話だが、実はこの復帰は意図的だったという噂があった。

そのことについてのジョブズ本人の発言もこの書籍には書かれている。AppleにNext社を買収させてジョブズが復帰というストーリー。

この部分について知っておくとAppleとスティーブ・ジョブズの縁というか不思議な関係について理解ができると思う。私は個人的には、ジョブズがAppleに戻るのは運命のようなものがあったのかなぁと読み直すたびにしみじみ思った。

シーン4、ギルアメリオへの憎悪

ギルアメリオはジョブズが復帰を狙っていた当時のCEO。はっきり言って影はうすい。特に有能な人物ではなかったとよく言われているのだが・・・ジョブズのギルアメリオに対する憎悪がこの書籍にはふんだんに盛り込まれている。

「まぬけ。」とはっきり言い切っているところがすごい。

私は、ギルアメリオはギルアメリオなりにAppleを復帰させようと頑張っていたとは思うのだが、やはり力不足だった感は否めないと思う。

今のiPadの前身となったとも言われているニュートンという端末に固執するギルアメリオと、バッサリと切り捨てるジョブズのシーンは注目してみてほしい。

シーン5、ジョブズの大爆笑

ジョブズの珍しい大爆笑シーンが描かれたのがこちらの場面。

前述したまぬけなギルアメリオを友人と皮肉った場面。以下引用。

ギルアメリオ
「そうだね … …アップルは船のようなものだ 。宝物がたくさん積まれているが 、その船には穴が開いている 。そして 、全員が同じ向きにこぐようにするのが私の仕事なんだ 」

スミスは不思議そうな顔になった 。
「そうですか 。で 、穴はどうなるのでしょう ? 」

このあと 、エリソンとジョブズはこの 「船のたとえ話 」でアメリオをさんざん笑いものにする 。 「この話をラリ ーから聞いたのは寿司屋だったんだけど 、あのときは 、笑いすぎてマジで椅子から落っこちたよ 。ホント 、道化なんだけど 、でも 、本人はすごいと思ってるんだ 。アメリオ博士と呼べって 、みんなに要求するとかね 。ああいうのはダメだよね 」

シーン6、ビルゲイツの先見性

私はマイクロソフトは嫌いだし、ただライセンス契約が上手かっただけの会社でなんの理念もないとは思っているのだが、ビルゲイツの先見性やマーケティング力は時々、すごいなぁ、と思う。

特に、iPadを発表したあとのAppleへついてコメントしたのがこちら。以下引用。

ビル ・ゲイツが否定したのは 、もはやお約束だろう 。 「音声 、ペン 、本物のキ ーボ ードという組み合わせ ─ ─つまりネットブック ─ ─が主流になると私はいまも思っています 。

だから 、 i P h o n eのときのように 『くそっ 、マイクロソフトも目標をもっと高く持つべきだったか 』などと歯ぎしりすることはありません 。 i P a dはすてきなリ ーダ ーだと思いますが 、 『これをマイクロソフトで作れていれば … … 』と言いたくなる点はありませんから 」

ブレント ・シュレンダ ーにこうコメントしたゲイツは 、いまも 、最後にはスタイラスペンを使うマイクロソフトのアプロ ーチが勝つと信じており 、私にはこう語ってくれた 。 「何年も前から 、タブレットとスタイラスペンだと考えてきました 。私が正しかったといつか証明されますよ 。その前に死んでしまうかもしれませんが 」

現在、surfaceは猛烈に売れている。それにApple Pencilも世界中の人に愛されている。この点についてはビルゲイツが正しかったのかもしれない。

ただ、1つ言えるのは、スティーブ・ジョブズなら違うビジョンを創造し、全く予想としなかったようなガジェットを作っていた可能性もかなり高い。その未来が見れないのが悲しい。

シーン7、ソニーとの争い

ソニーがいかに失策を犯したが描かれている。私はソニー大好きなので、悲しいのだが、当時の彼らには先見の明はなかったのだろう。

場合によってはAppleと共にiTunesを用いて世界を変えることができたかもしれなかったのに・・・日本企業特有のスピードの遅さと保守性で絶好の機会を逃した。

まぁ、Appleの下請けに対する態度などは酷すぎるものが多々あるし、手を組むとなっても慎重になるべきだとは思うのだが、それにしたってジョブズとソニーの関係を考えれば、もう少し話が良い方向に向かってもよかったと思う。

ソニーとApple、というよりはソニーとスティーブ・ジョブズの関係はかなり深いものがあるので、日本人なら必ず知っておくべきだろう。

まとめ:著者はクソ野郎??

著者のアイザックソンは海外ではめっちゃくちゃ叩かれている。

「ジョブズへ接近できた唯一の人物のくせにただダラダラ書いているだけ。」
「彼は唯一無二のチャンスを台無しにした。」
「ジョブズを知るにはこの本しか選択肢がないのが残念でならない。」

と海外らしくかなりの批判を浴びている。

ただ、私個人の意見としては、筆者はよくやったと思う。伝記なのだから、筆者が密着した事実を良い点、悪い点もすべて書くことが重要だろう。

著者はきちんとジョブズの周りの人にも細かすぎるくらいの取材を繰り返しているし、これはこれで完成している。

スティーブ・ジョブズが長く偉大な人生の中でなにをしてきて、周囲の人とどのように付き合ってきたかを知ることができる唯一の書籍。

もし、あなたがAppleに興味があるなら、一度は読んでほしい。さらにAppleへの愛が増すこと間違いなしだ。

私は実際、この本を読んでiPadの角の丸みを眺めたり触ったりしてニヤニヤするクセがついた。彼らがこの丸みにどれだけの情熱を注いできたのかだけでも知るだけで、私はiPadを一生使いこもうと決めるに値するインスピレーションを得ることができた。

その結果、Appleへの愛がさらに増幅されて、日々楽しく仕事を続けられている。つまり作業効率に直結しているという事だ。だからこそ、Appleの歴史については多少は知っておくべきだと思う。(魅力的な史実も多い)

いやぁ、やっぱりAppleは最高だ。

※歴史を知るなら以下の記事で紹介している本もかなりオススメ
→~iPhone,iPad所有者がKindle Unlimitedに加入すべき3つの絶対的理由

8 COMMENTS

11歳のApple信者

うおずさんこんにちは!
サイトのページを下までスクロールしていたら“スティーヴジョブズ”という項目を発見!拝見しました。
私も去年ウォルターアイザックソンのジョブズの伝記読みました!
まさに世界を変えた男ですね。
私は何かの景品でiPadを貰えると聞いて頑張りましたが結果OUT!
そこで自費でiPadを(というよりかは金を祖父母からふんだくって)買いました。で、その後伝記を読んでMacを知った。
その昔、 スマホ=iPhone アンドロイド=人型ロボット(未来館にあった)
だと思っていました。
やっぱりAppleは凄いですね。
でもバタフライキーボードと光らないりんごは……。
いつかスタバでドヤりたい……でもりんごが……と思ってしまいます。
でもRetinaディスプレイはジョブズ亡き後最大の発明だと思いますね。
ティムクックさんにも頑張って欲しいと思っています。
と思ったらiPadOSなるものがついに秋から!iPadの将来に期待します!

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管理人@うぉず

ふふふ。
ジョブズの伝記素晴らしいですよね。
海外では「アイザックソンは絶好の機会を逃した。」
とか批判されがちですが・・・

私は素晴らしいと思います。

秋のiPadOS楽しみですよね!!
一緒に楽しみましょうv( ̄∇ ̄)ニヤッ

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エネミー·クロウラー

こんにちは、図書館で読みましたよ。いいですね。クソヤロウって感じが半端ないです。そんなジョブズだから今があると思うとやっぱり楽しいですねApple!

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管理人@うぉず

ですよね。
私もいまだに気に入っている箇所を読み直したりしますv( ̄∇ ̄)ニヤッ

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たかもっち

こんにちは。うぉずさん。久しぶりのコメントです。長いですがお読みいただけると嬉しいです。

今年はAppleの新製品リリースから目が離せず、先週Apple Watch Series 6に(Series 4から)買い替え、今はiPad Air 4への(iPad Pro 10.5インチからの)買い替えと、iPhone12(仮)シリーズへの(XS MAXからの)買い替えに興味津々な状況です。

さて、Appleを創業したスティーブ・ジョブズさんがどのような人だったのか、ふと気になってしまい6月に本書を手に取り、時間をかけて1回読了したのですが、

ものすごく大事なことが書いてあると思い、書いてあるメッセージを吸収したいと思い、今2回目(下巻の半分まで)を読んでいます。同じ本を2回以上繰り返し読むことが少ない私ですが、本書は2回目を読みたくなってしまうほど、引き込まれるものがあります。

本書にはスティーブ・ジョブスさんの凄まじい熱量と執念と、狂気が詰まっているように感じています。

ジョブスさんとは全く異なる真面目でおとなしめな人生を長く送ってしまった私ですが、ジョブスさんのように「モチベーションが狂気的にあがるほど好きなことにフォーカスした人生を送るように」なりたいとまで思うようになってしまいました(演劇界における好きな演出家だった故・蜷川幸雄さん(「パンクじじい」と自称していた)よりも強い狂気の持ち主のような気さえします)。

少なくとも、ジョブズさんの美意識と美的感覚を大事にできるような感性を養いたいです。

ヨーヨー・マさんの演奏に触れたときのジョブスさんのコメントを読んで、激しくて破天荒なだけではなく、純粋に美をこよなく愛する態度を感じ、とても素敵なエピソードでした。

さて、今のAppleは、ジョブズさんのHipなDNAが生きているけれど、大衆的に過ぎる感じがしなくもなく、没後9年というのは長い時間だなあと感じたりしています。

第1世代のApple PencilをiPadのLightning端子に挿して充電するのはHipではないし、

ジョブスさんが生きていたら、大手家電量販店で製品を販売することをそもそも許さない(売り方がHipではないから)だろうし、

神奈川県内のApple1号店は川崎ではなく、鎌倉(鎌倉は禅が合うところで、湘南地域とともに日本を代表するカウンターカルチャーエリアなので)になっていたと感じますし(鎌倉には絶対にApple Storeをオープンしてほしいです)。

そもそも沖縄にApple Storeがないことに、ジョブズが嫌う「利益だけ優先の体質」がAppleにも生じたかと思えてしまいます。沖縄にApple Storeが無いのにも違和感を感じます(コロナ禍でなければ、沖縄のApple Storeは地元のひとのほか、多くの海外旅行者に愛されると思っています)。

最近は、もしジョブズさんが「まちづくりプロデューサー」だったらどのような街をつくるかなと思ったりします。オレゴン州のポートランドを超えるようなオーガニックでクリエイティブな街をつくるのかなあと思ったりします。

頬擦りまではしていないですが、iPhoneもiPadもMacもよく愛撫しています。特にiPhone XS MAXは毎日愛撫しています!Surfaceや長く使っていたVAIO(VAIO株式会社になってもしばらくは購入していました。なお元SONY信者で今でもSONY好きですが、AppleはSONYよりも私を虜にしてしまいました)も愛撫まではしませんでした。

本書を読んでAppleの製品に一層の愛着が生まれました。死ぬまで買い続けたいと思うほど。

ちなみに、本書を読むまではジョブズさんのWhiteへのこだわりや思想を知りませんでした。次のiPhoneはWhiteにしたくなりました(ちなみに本書が少し影響し、Apple Watch Series 6はシルバーアルミニウム(Series 4はスペースグレイアルミニウム)に買い替えました。白に近い色にしたいと思い。白いバンドはまだ購入していませんが今年のNikeモデルPrideバンドは白ベースのものとして愛用中です)。

多色展開するのもAppleらしいお色気ですが(Appleはカリフォルニア的な「ナチュラルなセックスアピールがある」と、本書を読んで言語化されて理解できました)、Whiteという原点に触れてみたくなりました。

あとは、カリフォルニアを旅してみたいです。Appleのクパチーノのビジターセンターにも行ってみたいですし、できるならスティーブ・ジョブズ・シアターも見学してみたい。Appleが生まれた土地と文化を体感したいです。

最後に、本書の次は「スティーブ・ウォズニアック自伝」「ジョナサン・アイブ」「ティム・クック」も読みます。スティーブ・ジョブズだけではない、Appleのすごい人についても知りたくなり、買ってしまいました。

しばらく読書を通じてAppleの人と思想を知る旅が続きそうです。

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管理人@うぉず

おわぁ!!!!
めちゃくちゃ濃い考察と感想ですね。
ありがとうございます。

興味深く読ませていただきました。

私は彼のユーモアあふれる言い回しも好きです。

だから僕は電源ボタンをつけなかったのかな?

のくだりは最高です。

>>最後に、本書の次は「スティーブ・ウォズニアック自伝」「ジョナサン・アイブ」「ティム・クック」も読みます。スティーブ・ジョブズだけではない、Appleのすごい人についても知りたくなり、買ってしまいました。

お!
それならThink Simpleはぜひ。
客観的にジョブズを書いた超名作です。

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たかもっち

うぉずさん、ご返信ありがとうございます!

電源ボタンをつけなかったくだりも、素晴らしかったですね。Think Simpleぜひ読みます。教えていただきありがとうございます!

昨日はジョブズさんの命日だったんですね。合掌。

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エネミー·クロウラー へ返信する コメントをキャンセル

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